信仰を貪る魚

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 私が声をあげると、ぼちゃんと水しぶきがあがった。  ”ここにいる。ここにいる。ここにいるよ。”  黒くて、まるまると太った、あの金魚だ。   ***  次の日、いつものように小学校へ向かった。  「おはよう。」  後ろから真理ちゃんが声をかけてきた。  真理ちゃんが、魚を殺した?  昨日のことなんか、一晩寝てすっかり忘れてしまっていたのに、急に、そんなことを思った。  「ねえねえ、これ見て。ダンゴムシ」  真理ちゃんは、真ん丸になったダンゴムシを三匹、手のひらの上で転がした。 「可愛いでしょ」  ごろごろ。ごろごろ。 「さっきお庭で探したの」    ごろごろ。ごろごろ。  魚が死んでいた日、一昨日、真理ちゃんを家に呼んだ。  お庭で遊んだ。ダンゴムシを探した。蝶々の羽をもぎ取った。蟻の巣に、オレンジジュースを流した。  池の中を覗き込んで、金魚を探した。
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