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「真理ちゃん」
池に向かって、走る。
引き留めるような引力を感じる。
「真理ちゃん」
怖い。怖い。怖い。
なにかいる。なにかいる。
家の庭に、なにかいる。
この池の中に、なにかいる。
”落ちろ。落ちろ。落ちろ。”
泣きながら、後ろを絶対見ないように、池に向かって手を伸ばした。
後ろを絶対、見ないように。
「真理ちゃん」
眠るように、うつ伏せで、池に浮かんでいる。
真理ちゃんをぎゅっと抱えて、引き上げた。
重い。重い。……冷たい。
「真理ちゃん」
顔が真っ青だった。
「真理ちゃん」
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