思い出の錦江湾

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 僕が初めて鹿児島県に行ったのは、四歳の時だ。大阪で生まれ育った僕にとって鹿児島は、見知らぬ遠い土地であり、どんなところか想像もできなかった。  四歳になったばかりの冬、家族で母の実家に帰ることになったのだ。母の実家は鹿児島で、大阪に就職してからも年に一回は帰っていたらしいが、僕が生まれてからは子育てで忙しく、大阪から遠く離れた故郷に帰ることもできなかったのだ。  僕がある程度大きくなり、育児も落ち着いてきたので、家族で鹿児島へと帰省することになったのだ。大阪の、生まれ育った町しか知らない僕にとっては、まさに未知の旅だった。
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