思い出の錦江湾

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「あんた、もう着いたで」  母の声に、僕はハッと目が覚める。気づいたら寝ていたようだ。窓の外を見ると、空港の景色が広がっており、飛行機は滑走路をゆっくり進んでいた。  飛行機を下りて休む暇もなく、空港から出た。外は冬とは思えないほど暖かく、生ぬるい風が僕の体を撫でた。道路の脇には、南国に生えていそうな背の高い木々が植えられている。  僕たちは大型のバスに乗り込んだ。母の実家へは、バスを何回も乗り継がないといけない。車窓から見える景色は大阪と違い、緑が多く、背の低い建物ばかりだった。大阪だけが世界の全てだった僕にとっては、目に見える全てが新鮮に映った。
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