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「ふんのこて、といところから、よう来たなあ」
家に着くと、おじいちゃんが出迎えてくれた。シワだらけの顔に、優しい笑みを浮かべている。
ふんのこて? 僕は首をひねる。おじいちゃんの言葉には分からない言葉がかなり混じっていた。イントネーションも独特だ。母とおじいちゃんがしばらく話していたが、外国の言語みたいでほとんど聞き取れなかった。
母の実家は木造の平家で、大きな部屋がたくさんあった。床に敷かれた畳は、黒ずんでいる箇所が多かった。居間の向こうには庭も見え、色んな野菜が植えられているようだった。
「う、うわあ」
その時、地面がぐらぐらと揺れた。畳の上に立っていた僕は、思わずよろける。
「じ、地震や。今、揺れたで」
僕は怖くなって、母の足をぎゅっと抱きしめる。
「桜島が爆発したんやろ」
おじいちゃんがそう言って、にたっと笑う。
桜島? 爆発?
おじいちゃんの言葉に、僕の頭の中にはハテナマークがいっぱい浮かんでいた。
よくよく聞くと、桜島という火山がしょっちゅう噴火し、そうすると地震みたいに揺れるとのことだ。大阪ではあり得ないことばかりに、僕は戸惑っていた。まるで違う星に来たような気分だった。
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