思い出の錦江湾

5/10

13人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
「海でも、見にいっか」  一時間ほどたってもまだ落ち着かず、ソワソワしていた僕に、おじいちゃんが言った。  海。その言葉に胸がざわつく。すぐ近くにあるのだろうか。見てみたい気もした。しかし、おじいちゃんと二人っきりになるのも怖い。 「ああ、行ってきなさい。晩御飯まで時間あるから」  母の言葉に、僕は思わず顔をしかめた。断りにくくなってしまった。  おじいちゃんは「行くぞ」と言って、サンダルをつっかけて、外へと向かう。僕は慌てて靴を履き、おじいちゃんの背中を追う。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加