エピソード4

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エピソード4

けーちゃんみたいな人は、 人の話を聞くというのが苦手、 って人多いんだって。 それ、よくわかる。 興味ない話だと、 突然、違う話題で割り込んでくるし、 時には、自分が話してることなのに、 横道にどんどんそれて本通りに戻れなくて…。 悩む—。 初めは、 「けーちゃん今、僕の話だから」 とちょっとイライラして注意してたんだけど、 大事な話じゃないときは、 けーちゃんの裏道散歩に、 とことん付き合ってあげることにした。 それはもう、ポンポンポンポン、 次から次へと扉が開いて、 時には開けた扉の先にある引き出しまで、 行くことになったこともある。 そしてふと気付く。 「あれ?ここどこ?」 みたいに我にかえって、 僕の顔を見てはっとして、謝る。 「じゃさっきの続きね」 と本通りに戻してあげると、 お利口に話を聞いてくれたりくれなかったり。 ほんと疲れちゃうけど、 今ではそんなときは、 『けーちゃんの頭のなか見れた』 と嬉しくなったりする。 でも大事な話の時はしっかり注意するけどね。 それでも集中出来てないなとわかるときもある。 そわそわしたり手や耳を無駄に触ったり…。 でもけーちゃんは他の人と話すときは、 ほんと気を付けている。 話の途中で口を開きたくなったら、 深呼吸してるみたい。 話してる人の方をしっかり見ている。 話を聞いてるかどうかはわからないけど、 真剣そのもの、  頑張ってるなと思う。 でも、僕といるとかなりの確率で、 とっちらかる。 だから、もう!て思ったら、 話をやめてけーちゃんをくすぐったり、 文句いったり、 けーちゃんの容姿をディスったり(笑)。 最近はそこまでをセットにして、 けーちゃんとの会話を楽しんでいる。 端からみたら変な夫婦。  
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