エピソード7

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エピソード7

けーちゃんが何もしない日。 掃除も適当、 取り込んだ洗濯物も中途半端になってる、 仕事も忙しくはなさそうだ。 まぁもともとだらしない方ではあるけど、 僕が忙しい時は、 ソファーでうずくまってるだけのけーちゃんに、 イライラする。 そのくせそういう時は、 僕にかまって欲しそうにする。  今日はイライラするから、 構ってやらないよ、 という態度でけーちゃんを見る。 まぁそのくらいのことは、 察することができるから、 なんかしゅんとしてるのもわかる。 だいたい、《この惨状》》をみて、 怒らないだけでも感謝してほしい。  けーちゃんは洗濯物や食器にしても、 気になることがあると、 僕にはわからない『けーちゃんのルール』で、 畳んだり片付けたりしないとダメなときがあって、 そのくせ自分の中で決めたルールがめんどくさくて、 投げ出してしまう。 多分今日もそうなんだろう。 しばらくして、何か思い立って、 とりあえず洗濯物を片付ける。 魂胆はわかっている。 『これやったから少し甘えさせて?』ということ。 でも僕今レポート書いてるし、 ほんとに無理。 「統二」 「ごめん今忙しい」 ちょっと泣きそうになってテレビをつける。 「ねぇ、テレビうるさい。 仕事してるのわかるよね?」 …黙っている。 「はぁ、もうお風呂とか入ってきたら?」 ちょっと突き放す。 でもけーちゃんは首を横にふって、 「やだ 統二のそばにいる」と涙をこぼした。 「あのさぁ、邪魔なの。 仕事に集中したいから。 僕の時間はけーちゃんだけのものじゃないんだよっ!」 ついつい怒鳴ってしまった。 「…ご ごめんなさい」 萎縮するけーちゃんには悪いけど、 これはちゃんとわかって欲しい。 「怒鳴ってごめん。けど、わかって?」 「…」 優し目に言うと、 こくっと頷いたあと、 お風呂にいくことにしたみたい。 タオルをもって僕の横を通り過ぎるとき、  「あの、あの、ごめんなさい」 と小さくいったあと 、 少しため息をはいた僕に、 「わ、私の時間は全部、統二の生活の一部だよ」 といって、風呂に走っていった。 は? 言ってることは正直よくわからない。 でも言いたいことはなんかわかる。 あぁ、けーちゃんの世界は、 僕を中心にできてるんだね。 かなりめんどくさい考えだし、 むしろ振り回されてるのは僕だけど。 …かなり、嬉しい。 今は無理だけど、 仕事(これ)片づいたら、 むちゃくちゃ甘やかしてあげよう。
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