エピソード8

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「統二」 そんななか、突然けーちゃんが話しかけてきた。 意を決したという感じで、 でも視線はわずかに泳がせていました。 「私 、統二と一緒にいたいけど、 あのこにあんな顔されたら…ちょっと無理」 「え?」 「あのこをあんなに追い詰めて、 泣かせるなんてできない…」 突然のことに一瞬止まってしまう。 そしてなぜかけーちゃんが泣きそうな顔になる。 「けーちゃん?」訳もわからず。 けーちゃんを見つめる。 最近様子がおかしかったのはこのせいか? 「僕もけーちゃんと一緒にいたいよ」 ほんとにやっと手に入れた大切な人だし。 「あのこって誰?」 まず一番わからないことから聞く。 「…カフェの女の子」 え?境さん?どうして…? 「うちに来たの?」 「はぁ?!」 思わず本気で大声出してしまう。 だって怖い。 なんで家知ってるの? はっ!まさかつけられた? 「な、なんかされた?大丈夫?」 こくり、と頷くけーちゃん。 「けどね。泣いてたの」 「境さん…いやその女の子が?」 「境さんっていうんだね。 うん。泣いてたの。 『私には久住さんが必要です』って、 『せめて2人でご飯に行くだけでもいいんです』って」 いやご飯行ったら勘違いさせちゃうでしょ? そう思ってはじめから俺には脈なしだって、 伝えてきたつもりなのに…。 「あの子が働いてるカフェの前を通ってみたの。 いつも統二が行ってるカフェだね」 「うん、まぁ、そうだけど…」 「たまたま統二がいたよ」 「じゃ声かけてくれたら良かったのに」 「だって」一息ついて、 「だって、あの子が嬉しそうに、 統二に話しかけてるの見たら、 邪魔しちゃいけないと思って…」 何の目線でみてるの? けーちゃんは僕の奥さんなのに、 何遠慮してるのさ、と思う。 「私はお家でいつも統二と一緒にいられるけど、 あの子はカフェでほんの少ししか、 統二との時間を過ごせないのに、 邪魔できないよ!」 はぁぁ?何僕をシェアしようとしてんのよ?
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