僕たち夫婦のこと

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けーちゃんの故郷(ふるさと)は、 超がつくほどの"ド田舎"。 知ってはいたけど始めて行ったときは、 「この先にまじで家あるの?」 と思いまし。 絵に描いたような山村です。 けーちゃんはひとりっ子で、 それは見たまんま、 性格や振る舞いにもあらわれています。 けーちゃんは赤ちゃんの時視力が弱くて、 お医者さんに見てもらったら、 「少し知能に遅れが出るかもしれない」 と言われたと言う。 当時はまだ今みたいに、 知的障がいで検査する人もなく、 そんなことはだったから、 家族の誰もお医者さんの言葉は無視して、 『ちょっと空気が読めなくて落ち着きのない子』 位な感じで育てられた。 『周りに恵まれてたの』 けーちゃんはそう言うけど、 大きくなればなるだけ、 他人(ひと)との摩擦もあったはず。 自己否定があったり、 自己主張が下手くそで、 しりつぼみなのもそのせいかな? と想像しちゃう。 人の顔色を伺うと言えば聞こえは悪いけど、 周りを気にできる優しい人だと思う。 まぁ思ったこと顔に出ちゃうから、 嘘もつけないしね。 僕は、それほど田舎でも都会でもない、 いわゆる"街"で生まれ育った。 兄がいて次男の僕はそこそこ自由に育った。 母は心身共に弱い人で、 僕たち兄弟は母に振り回されることも少なくなかった。 父は頼りになるいい父親だった。 ただ働いていた会社が倒産し、 信じていた人に裏切られたりと、 よくないことが重なって、 一年位失踪していたことがあった。 母は案の定、どんどんダメになっていき、 中学生の頃は、本当に家庭崩壊していた。 その時の担任の先生がとても親身になってくれて、 兄も俺もすごく助けられた。 この時『学校の先生になりたい』と、 漠然と思ってたんだよね。 子供の行動や心理にも興味があって、 そう言うのも学んだことが、 カウンセラーの仕事にも繋がって、 けーちゃんとの生活にも繋がっている。 そう思うとなんだか感慨深いよね。
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