はじめは

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はじめは

初めてけーちゃんにあった時は、 『なんか疲れたおばさん』て印象だった。  今にして思えば、 好きな仕事もやめて、 必死で義実家の方々にあわせていたから、 その歪みの中でもがいてたのかもしれないな。 服装も見た目も地味だし、 笑顔も無理やり作ったみたいで…。 でもなんか気になってしまった。 けーちゃんに聞いたら、僕の第一次印象は、 『若い先生だなぁ』だけだったそう。 まぁけーちゃんより若いしね、 “フレッシュ”に見えて何よりです。 『でもたぶん 好きになったのは私が先』 とけーちゃんは言っている。 けーちゃんは親御さんの輪のなかでも、 なんかへらへらしてて、 楽しくできてるかな?と思えた。 課と思えば、突然脈絡のない話をして、 周りの流れを途切れさせて、 微妙な空気を作ってしまう。 「ケイさんて、よくわかんない」 と僕にもらす親御さんもいた。 自分でも後で反省するみたいで、 へこんでいたりする。 なんだかけーちゃんの言動が心配で気になって、 見守りたくなって、 その一所懸命さにいつしか惹かれていった。 だから深く好きになったのは僕のほうだけどね。 でもその時のけーちゃんは、 だったし、 子供たちもととても仲良しだったしね。 僕のその気持ちは心の奥にしまいこんで、 けーちゃんと距離をおいた。 それが、けーちゃんを悩ませ、 苦しめてたのにも気付かなかった。 『これでいい。人様の家庭を壊しちゃいけない』 そう思っていたから、 けーちゃんが『助けて欲しい』 という思いも込めて僕を見つめていたなんて、 思いもしなかったからね。
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