エピソード2

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家に帰る。 「お帰り」 いつもと変わらないけーちゃん。 「ただいま」 「お風呂わいてる。雨ひどかったよね」 「うん靴下濡れちゃった」 玄関で脱いだ靴下と、 けーちゃんが出してくれた、 足拭きタオルを洗濯機にいれる。 湯船に浸かって今朝のけーちゃんを思い出す。 謝るのもおかしいし、 けーちゃん忘れてる可能性もある。 でも僕だって、 いつも大人でいられるほど、 余裕があるわけじゃない。  ザブンと音をさせて、風呂を上がる。 下着を手にとって思わず笑みが漏れる。 「なんかミミズみたいな気持ち悪い柄」 そう言えばこの前けーちゃんが、 『安かったの』と買ってきた3枚組の下着だ。 「いくらなんでもセンス無さすぎ」 可笑しくなる。 美的センス0だ。 文句でも言おうとニヤニヤしながら、 けーちゃんのとこにいく。 わざと下着のまま。 「なんでパジャマきないのぉ」ちゃんとしてよ、 とか僕を見て言うけーちゃん。 「しかもなにそのパンツ。 見せびらかしたいほどよくないよ?」 えぇぇ!これけーちゃん買ったやつだよ? なんか逆に驚かされる。 忘れてる? 「いや、これけーちゃんが買ってきたやつだよ!」 僕も別に見せびらかしたい訳じゃないし、 ちょっといらっとして吐き捨てる。 「あっそうだっけ?…!あぁあのお買い得の…」 ものは言い様だよね。 「雨の模様だ」けーちゃんはニッコリ笑った。 「あ…」あの子と反対の見方だなぁ けーちゃんはどんな気持ちで窓を見てたんだろう。 『気持ち悪い』って思うのに、 見るのをやめない雨の模様。
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