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そんなことを考えてたら、
ぽーっとしてるように見えたみたいで、
「パジャマ着ないと寒いよ」
とけーちゃんが近づいてきた。
「あぁ、うん」
と言ってけーちゃんの頭をポンポンした。
甘えたいのに子ども扱いしてほしくない。
男としてけーちゃんにとって、
頼りになる男でいたいの…。
けーちゃんばっかり自由でずるいと思ってしまう。
僕は一体どうしたいんだろう?
ズボンをはいてシャツを着て振り返る。
と
けーちゃんが突然、ぎゅっと抱き締めてきた。
「何してるの?」突然のことに驚いていると、
なぜか頭を撫でてくる。
「けーちゃん?」顔を見たくて離れようとしても、
割としっかり抱きついている。
「ねぇどうしたの?」
と仕方なくそのままで尋ねると、
「統二頑張ってるから。
わたしも何かしてあげたいけど」
頭を撫でながら話し出す。
「何していいかわからないから…」
あぁ、なにこれ?
もしかして僕、甘やかしてもらってるの?
「これじゃ何の足しにもならないかなぁ?
逆に私のご褒美だよねこれ?」
はい。安定の迷走がはじまった。
でも、今日フリースクールであの娘を見かけてから、
けーちゃんに甘えたかった僕は、
この際だからちょっとお願いしてみる。
「じゃぁさ、膝枕してくれる?」
一瞬驚いたあと、嬉しそうに笑って、
「どうぞ」とローソファに座るけーちゃん。
遠慮なく膝枕してもらう。
少しふくよかなけーちゃんの太ももに、
頭をあづけて目を閉じる。
けーちゃんが優しく頭を撫でてくれる。
あぁこういうのいいなぁ。
たまには甘えるのも悪くない。
年上だとか年下だとか、男だから女だからとか、
そう言うの考えなくていい。
それは僕の奥さんが“けーちゃん”だから。
「朝はごめんね」
突然のけーちゃんの謝罪。
「統二が忙しいの知ってるのに。
私、自分のことばっかりで」
けーちゃん…。
僕は視線だけけーちゃんに向ける。
「僕はそんなできた人間じゃないから、
けーちゃんの思い通りにできないけど、
でもちゃんとずっといつも、
けーちゃんのこと好きだし大事だから」
起き上がってけーちゃんをまっすぐ見る。
「それだけは…信じて」
そう言うとけーちゃんは、
やっぱりニッコリと嬉しそうに笑って、
「うん」と言った。
「たまには今みたいに甘えてもいい?」
「まぁ、たまにはね」
とイタズラに笑うけーちゃん。
ホントに甘えてもいいのかなぁ?
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