第一章

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** 「……どうして一緒に寝てるのかなあ」  う……ん? 「じゃあ、僕行くから。あとはよろしくね。出かける時はミーシャは部屋に入れて行ってね」  ハッ。俺は慌てて起き上がった。  玄関で音がする。俺は玄関に急いだ。 「ごめん。二日も寝坊した」 「別に構わないけど。じゃあ行くね」 「おう。行ってらっしゃい」  三木はその場に立ったままだった。 「どうした?」 「……いや、なんか新鮮だなって」  そうか?三木はその場でモゴモゴ行ってきますとか何とか言って出て行った。俺は三木の背中を見送った。髪を撫で付け、上等なスーツをビシッと着た三木は確かに仕事が出来そうなエリートサラリーマンに見えた。  あれじゃ女性にモテないわけがない。罪な奴だな、なんて馬鹿みたいなことを考えた。  さて、俺らもご飯にするか。  俺は午前中に洗濯とか掃除とか終わらせると、午後からは買い物に出掛けた。近くに大きなスーパーがあるって言ってたから散歩がてら探してみるか。  ふと、昔ながらの小さな文房具店を見つけた。ふらりと中に入ってみる。  店内は少し雑然としていたけれど、それが俺には心地良かった。ノートサイズのスケッチブックと鉛筆を買った。路上生活してる時は絵なんて描いてなかったけれど、今なら描いてもいいかなって思った。  俺は数百円の贅沢をして、すっかり気分が良くなった。やっぱり家に住めるっていいなって思った。気持ちに余裕ができる。しばらくの間は三木に追い出されないようにしなくちゃな。  そう考えてたら、めちゃくちゃ買い物してしまった。だってあの家には何もないんだ。食べるものも洗剤も。俺の数少ない洗剤を使ったくらいだからな。レジであの黒いカードを出したら、少し変な顔をされた。無事買えたからよかったけどさ。  俺は買ってきた食材をテーブルに並べた。これで一週間の献立を作ろうと思う。それくらい出来なきゃ家政婦の意味はないだろ?  そういや三木の嫌いなものとか聞いてなかったな。まあいいや。駄目なら俺が食えばいい。俺はシャツの袖を捲り上げた。  よし!始めるか!  俺がやっと作り終えるともう時間は八時を過ぎていた。流石に今日こそ外食して来るんじゃないのか?そう思ったものの、もう少しだけ待つかとミーシャのご飯を先に用意する。ミーシャは俺が外に出てる間はお利口に部屋に居てくれたが、帰って来た途端にカリカリやり出して、それからずっとリビングに居た。部屋にいた方が快適だと思うんだが。  ミーシャは綺麗に食べ終えると澄ました顔をして部屋を出て行った。リビングに戻るとソファの上に座っていた。  あれ?もしかして今なら描かせてくれるんじゃないのか?  俺は部屋に慌てて部屋に行って鉛筆とスケッチブックを持って来る。ミーシャはソファに座り、俺は床に座って鉛筆を動かした。
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