第二章

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 その日は朝か今日は接待だから夕飯は先に食べててと言われていた。俺はどうしても生姜焼きが食べたくて、豚肉を自分で作ったタレに漬け込んでいた。もし接待であまり食べられなくてお腹が空いててもすぐ焼けるし。  俺とミーシャは夕飯を食べると、俺はまたまったり寛ぐミーシャのスケッチを始めた。  疲れたな……そう思って時計を見ると、もう日付は変わっていた。  遅いな……少し心配になる。まさかストーカーと鉢合わせしたとかないよな。  そんなことを考えてたら、急に音が鳴った。慌ててモニター前に走る。  モニターにはスーツの男の肩に凭れる三木の姿があった。 『ホントに中に開けてくれる人がいるんだろうな』  声が聞こえた。俺は慌ててその辺のボタンを押す。そうするとオートロックのガラスの扉が開いた。うおっと声が聞こえた。  俺は慌てて玄関に出た。何かあったのだろうか。玄関のドアを開けて待つ。エレベーターが開くと二人の姿が見えた。スーツの男は迷いなく三木の家まで来た。 「なんかあったんですか?」  俺は挨拶もせずにいきなり聞いた。 「いやぁ、接待で相手に飲まされちゃって……ってあれ?」  スーツの男は俺を見た。あっ……。 「黒田?」 「うん。あっと、えーと、ごめん名前忘れちゃって」 「ああ。水沢だよ、水沢徹。高校二年までいた」  黒田はああーと言った。どうやら思い出したようだった。俺はとりあえず家の中に入ってもらうことにした。黒田は玄関に来ると、はあと息を吐いた。 「俺が代わるよ」  そう言って三木の腕を取った。 「え?大丈夫!?」  黒田は慌てたように言った。 「工場で重いの運んでたから見た目より平気だよ」  確かに黒田も三木も180㎝超えてるからな。それに比べて俺は小さいけど。俺は三木の腕を俺の肩に回すと、三木を背負うようにして歩き出した。マジで?とか言う黒田の声が聞こえた。  俺は三木を部屋まで連れて行くとベッドに降ろした。黒田は慣れた手付きで三木のジャケットとネクタイを外した。スラックスは皺になってしまうが仕方ないだろう。俺は三木に毛布を掛けると、黒田と共に部屋を出た。
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