第二章

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 俺は朝いつもの時間に起きた。朝ごはんとお弁当の用意をする。黒田は弁当とか必要だろうか?  俺がキッチンでガタガタしていると黒田は目を覚ました。 「おはよー」  寝ぼけ眼でキッチンに入ってきた。 「ごめん、起こしちゃった?」 「いや、アイツが起きる前に風呂入りたかったからちょうどいい」 「黒田は朝ごはん食べる?」 「食うに決まってんだろ」  え?昨日かなり遅くにあれだけ食べたのに!? 「じゃあ用意しとくよ」 「悪いな」 「三木には弁当作るんだけど、黒田はどうする?持ってく?」  弁当?黒田は驚いたような顔をした。そしてすぐに、なるほどねと呟いた。何がなるほどなんだろう? 「俺にも作ってくれる?」  黒田は意味ありげに怪しく微笑むと、風呂場へ行ってしまった。 「は?なんでオマエがここにいるわけ!?」  起きてきた三木はダイニングテーブルの席につく黒田を見るなりそう言った。 「ここまで送ってきてやった俺に感謝くらいしろよ」 「そりゃ悪かったけど、いつもはベッドに投げ捨ててすぐ帰るだろ」 「いや、徹ちゃんの飯食ったら眠くなちゃってさあ。すげえ美味いからいっぱい食っちゃったんだよねえ。生姜焼き、すげえ美味かったわ」  三木は分かりやすく眉間に皺を寄せた。 「そんなことより早く風呂入ってこいよ。朝飯も楽しみにしてるんだからさ」  三木はかなり機嫌が悪いみたいで、大きな足音を立てて風呂場に行ってしまった。 「ね?分かりやすいでしょ?」  黒田そう俺に言って、ニンマリと笑った。  なにが!?  朝食の時も三木は機嫌が悪かった。黒田は三木にワイシャツを貸してくれと言っていたが、三木は好きにすればとひと言返しただけだった。それでも黒田は何か楽しそうで、ニマニマしながら三木を見ていた。  俺はヒヤヒヤしながら見てたけど、どうやら幼馴染の間ではそれも普通らしい。  俺は二人が食べ終わると、二人分の弁当を包んだ。弁当箱も二つで100円だったし、包んでいる布も二枚で100円だった。多目的バンダナ子供用みたいなヤツだったか。 「ねえ、徹ちゃん。俺のワイシャツ置いてくから洗っといてくれる?」  黒田はそう言って俺にワイシャツを投げて寄越した。 「洗わなくていいよ。クリーニングに出すから」  三木は身支度を整えながらそう言った。まあ確かに。この家には簡易アイロンしかなくて、今度買いに行こうって話してたくらいだからな。 「えー。どうせ三木のも洗うんでしょ?一緒でいいよ」 「あんまビシッとできないけど」 「いいって。どうせ一日着たらすぐ洗うんだし」 「なら、いいけど」  俺がそう言うと三木は眉間に皺を寄せて俺を見た。え?駄目だった!?  黒田は楽しそうに身支度をしている。えーと、よく分かんない間柄だな。  玄関に180㎝超えが二人並ぶと壮観だった。というか二人並ぶとやっぱり迫力がある。エリートオーラもハンパないしな。 「はい。お弁当」  俺は二人に差し出した。三木はすぐには?と大きな声を出した。  えっと……何かまずかったか?  黒田は俺から奪い取るようにお弁当を取っていった。 「サンキュー、徹ちゃん!」  っていうかさっきから“徹ちゃん“って呼んでるけど、昨夜は“水沢“って呼んでたよな?  それを横目に三木は弁当を受け取った。 「今日は絶対生姜焼きにして」  は? 「早めに帰ってくるから」  そして怒ったように出て行ってしまった。黒田もそのあとを追う。そして途中振り返って手を振っていた。
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