番外編 初めてのおつかい

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「ねえ、テッシー。こういうこと出来るって初めて知ったんだけど」 「っていうかコレいいわね」  わっ! 気がついたら魔女二人が背後にいた。 「そうだな。これはなかなかいいかも」  わー。気がついたら深田もいた。 「なんかキャラクターっぽくないのが良くない?」 「うんうん。雰囲気に合ってる」 「おい、勅使河原(てしがわら)。これってもっとちゃんと動かせたりするのか?」  あ。なんか色々聞かれ始めた。 「まあ、出来るけど。これは今ザッとやっただけだし。もっと細かく出来なくはないよ」  やりたくないけど。 「て、てしがわら、さん? 凄いね。俺、感動しちゃった。ミーシャがそこにいるみたいなんだもん」  いや……それは徹さんの絵が上手っていうか。そんなじっと見つめられると、緊張するっていうか。徹さんは僕を見つめたまま、ふふって笑った。なんか凄い嬉しい……。 「これってイケるよな?」  深田が魔女二人に確認する。魔女二人は頷いた。 「だとしたら……徹さん、サイトのために絵を描いてくれませんか?」  そう言って深田は徹さんの手を取った。  ん? 「徹さんの絵が必要なんです。俺たちを助けてくれませんか?」  深田はさらに徹さんににじり寄って行く。なんかその距離感おかしくないか!? 「えっと……あの……」 「深田幹生(ふかだ みきお)っていいます。幹生って呼んでください」 「えっと……み、みき? ミッキー?」  バンッ──!!  大きな音がした。僕たちは一斉に振り返った。 「ねえ、なにしてんの? 仕事中だよね?」  そこには書類をぶん投げた課長が立っていた。
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