半年後、再会

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 そんな店で、俺は一日一人だけと決めて働いている。それなのに俺を選ぶ客は毎回金払いが良くて、だから店長は気に食わないのだ。もっと客をとれば、店には金が入るのにと思っている。  他のキャストも、暇潰しだと言わんばかりの俺の働き方が気に入らない。  実際俺には借金もないし、その日生活できるだけの金が手に入ればそれでいい。  俺の客が金払いが良いのは、ぶっちゃけNG無しだからだ。誰だって、どんなに金が欲しくてもイヤなことはイヤだ。でも俺にはそれがない。だから客は、自身の欲を満たすために俺を買う。  俺もそれを受け入れている。もともと痛くて苦しい方が興奮するクソビッチだからだ。  一日に一人だけとは言っているが、実際のところ複数だろうが、二輪挿しだろうが、首絞められようが、金さえもらえればどうでもいい。  俺はこの半年ほどを、そうやって生きてきた。  叔父さんのアパートを引き払い、残ったオヤジの遺産を現金にして口座を解約。住む場所もスマホも、全部新しいものに変えた。  働いてみようと思ったけれど、クズで世間知らずの28の男ができる仕事なんてタカが知れてる。ならいっそのこと、自分には自分の向いていることをと始めたのがこのバーのキャストだ。  ユキのいた空間から出たかった。  牧の人間から逃げたかった。  それと同時に、自分で生きていこうと思った。  今までの甘ったれた自分を捨てたかった。  もう誰にも頼らなくて良いように。
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