半年後、再会

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 人生には時に、奇妙奇天烈奇々怪々なことが起こるけれど、どうしてか都合の良いドッキリは起こらない。  病院でのユキの左胸には、ちゃんと俺の名前と薔薇の絵が刻まれていた。間違いなく俺のユキなのだ。  牧家の人間は誰も幸せになれない。  このことを、知っていたはずなのに実感がなかった。  ユキに忘れられて初めて実感した。  俺は、ユキのそばにいない方がいい。忘れているのならそのままにして、もう関わらない方がいい。  だけど、ちょっと頭の中で思い出すくらいはいいだろう?  俺はちゃんと覚えているから。  五感すべてに、ユキが刻んだあたたかさを、俺は覚えているから。  これさえあればほかはいらない。  ……感傷に浸っているのはやめよう。  そんなことよりほら、俺は今ちゃんと働いてる。成長した。俺はやればできる子だったんだ。アニキの所為で忘れていた。  明日も仕事だ。明後日も。  人間、コレが普通なんだろう?
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