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彼は眉間に軽くしわをよせて、恵梨の隣にいるマメを見た。見るというより、凝視すると言った方が近い。まるで幽霊か何か、信じられないものを見たような目つきだった。
……アレ? 恵梨は遠山の顔を見て引っかかるものを感じた。この顔をどこかで見たような、そんな気がするのだ。
「マメちゃん、俺の友だちの遠山だよ。無口で無愛想だけど根は良……くもないけどそのうち慣れるから仲良くしてやって」
庸介のよくわからない紹介に、マメはこくりと頷いた。
「遠藤です。よろしくお願いします」
マメがその小さな白い手を差し伸べる。誰かと知り合うとき、いつも握手するようにしているのだという。手に触れると、その人がどんな人だか想像しやすいらしい。
「……」
遠山はマメの手をしばらく見つめていたが、やがてふいと顔を逸らした。不機嫌そうに眉間のしわを深めて庸介を見る。
「……留守番くらい、他のやつに頼めないのか」
遠山に完全に無視されたマメはちょっとさみしそうに手を引っ込めた。恵梨は「あの人、なんか感じワルイ」とマメにささやく。
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