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「遠山、おまえがいちばん暇そうだったんだよ。……そうだ、外は騒がしいし、どうせなら何か買ってきてここで昼食べようか。マメちゃんと恵梨ちゃんはなにが食べたい?」
「うーん……おすすめは何ですか?」と恵梨は尋ねた。
「おれもずっとここにいるから、わからないんだよね。まあ探せば何かあるでしょ。恵梨ちゃん、買い物つきあってくれるかな。マメちゃんは遠山と留守番よろしくね」
「おい、佐藤」
遠山は不満げだ。この人と二人きりにするのは心配だな……と思い、恵梨はマメの顔を見た。
「大丈夫、すぐ帰るからさ。遠山、そこにトランシーバーあるだろ。他の案内所から迷子とか落し物の連絡がきたら、そこの帳簿につけといて」
庸介は充電器に立てかけてあるトランシーバーと、その横の帳簿をかるく指さした。
「行こう、恵梨ちゃん」
言うなり、庸介さんは部屋を出て行ってしまった。
「だいじょうぶ、マメ?」
「うん。わたしは足手まといになるし……二人で行ってきて」
マメがそういうなら……と、恵梨は後ろ髪を引かれる思いを感じながらも、案内所を後にした。
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