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「忘れてもいいよ。別に友だちになるわけじゃないんだから」
遠山は素っ気なく言った。
親しくなる前からこう言われてしまうと、マメはまた返す言葉がなくなるのだった。
永遠に続くかと思われた遠山との気まずい沈黙だが、幸いなことに思ったよりも早く終わりが来た。研一と鶫(ツグミ)が連れ立って案内所に来たのだ。マメはこの案内所に来る前、獣医学部の催しであるふれあい動物園に行ったときに二人に会っていた。
「また会ったね、マメちゃん! どしたの? 迷子?」
はつらつとした研一の声はこの部屋の雰囲気まで明るくするようだ。マメは少しほっとした。
「いえ。わたし、ここの係の佐藤庸介さんと親しくさせていただいていて……」
「え、まじ? 俺も庸介の友だちなんだ。偶然だねー!」
「ほんとですね。さっきは、どうもお世話になりました。あんなにかわいい子たちに触れて、ほんとうによかったです」
「いーのいーの。ウサギに触りたかったら、いつでもおいで」
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