5/7
前へ
/18ページ
次へ
「そうなると、誰かが部屋に持ってきたとしか考えられませんね」 「もちろん母と妹ではあるまい。となると、グレゴール君しかいない」 「あの大きな虫をひとりで?しかも・・・」 「・・・素手ではないと思うぞ」 「もしかして・・・」  助手はスマホを取り出し、ポケットからメモを取り出すと、電話をかけた。 「まあ!先生ですの?お電話いただけると思っていましたわ!今晩なら・・・」 「いえいえ、お宅に伺うわけではないのですが・・・」 「あらら?」 「グレゴール君、まだ戻ってらっしゃらない?・・・そうですか・・・ところで、お母さま・・・なるほどなるほど・・・わかりました、ありがとうございます。いえ、ですから今晩は伺えません。はいはい、いずれきっと・・・」  博士はいぶかしげに助手を眺めた。 「人妻とアヴァンチュールかね?」 「まさか。どうやらグレゴール君、このArmadillidiidaeを拾って飼っていたみたいです」 「そうなのか?」 「ええ、本人はカブトムシの幼虫だと信じていたらしいですが」 「まだ小さいうちに部屋に持ち込んで、飼育していたのか」
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加