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 グレゴールの部屋には、第一発見者である妹、兄妹の母(せっかくの朝ごはんが無駄になって機嫌が悪かった)と、急報を受けて駆けつけた巡査がいた。  巡査が言った。 「ダンゴムシですかね?」  巡査の後ろに隠れて、母が言った。 「なんでよりによってダンゴムシなんかに・・・」 「うげぇ〜」  妹が、巡査の後ろに隠れている母親の後ろに隠れて、嫌な顔をした。巡査はふたりの女性に頼られて得意げだった。 「奥さん、お嬢ちゃん、むしろダンゴムシでよかったかもしれません」   母と妹は顔を見合わせた。(三人の胸中には、おそらく同じ種類の、扁平で翅のある古生代からしぶとく生き延びているあの昆虫が思い起こされていた) 「せめて、このキモチ悪いお(なか)(あし)が見えなかったらよかったんだけど」  ワサワサと動くたくさんの肢を見て、母がため息をついた。  巡査がかぶりを振った。 「とんでもない!肢が下だったら、そこら中を動き回るかもしれませんよ!とりあえず、ひっくり返しておけば、移動できないようですから」
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