知らぬ間に未来のお料理番組にゲスト出演して、T汁を作る羽目になった男の話

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「へえ、豚汁!聞いた事ありませんね。ヌンチャクリン炒めヴェロガース風とおっしゃったゲストの方はいらしたんですけど、それは現在でも一般的な家庭料理ですので。実は一発で作る物が決まるのって凄く珍しいんです!じゃあ豚汁にしましょう!」 まず未来にヌンチャクリン炒めヴェロガース風があった事実に驚きだ。しかも家庭料理らしい。ヌンチャクリンが肉なのか野菜なのか、それ以外の何かなのかも分からないし、ヴェロガースも人物名なのか地名なのかもはっきりしない。恐らくその時のゲストは適当に言ったに違いないが。  おばさんが手をパンと鳴らす。すると彼女の前に青く半透明の画面が現れた。中空で静止している。田部村は初めて未来の道具を目の当たりにし、その画面の表と裏を交互に覗き込んだ。 「あ、これですか?過去の人は皆さん興味もつんですよ。ただ画面が浮いているだけなのにねぇ」
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