第三十七章 笑顔は箱の中 二

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 骨の家具は椅子だけかと思っていたら、サイドテーブルのようなものや、箱もあった。その箱に見憶えがあり、手に取って眺めていると、蓋が勝手に開いた。そしてオルゴールが鳴り出すと、眠くなってしまった。 「八起???」  俺は目を閉じると、立っていられなくなり、その場で座り込んだ。 「ピーチク、八起はどうした?」 「ピーチクククク」  駿河はパーチクをよ所有しているので、ピーチクの思考が伝わっているようだ。 「そうか…………この箱は、八起の臍の緒が入っている」  そんな物をどうやって入手したのだろう。俺は、臍の緒がついたままで捨てられていたと聞いたが、その臍の緒など見た事が無かった。 「八起にも母親がいたのか…………」  それは当たり前に、俺も母親から生まれていただろう。でも、自分で言うのも変だが、人工的な受精卵だったと思う。もしかしたら、過去の人物のクローンではないのかと、時々、感じてしまう。  それは、どこにいても、自分に近い人間を見つける事が無かったせいだ。 「八起の臍の緒…………」  朝陽と蔦屋が俺から箱を取ろうとした時、窓ガラスが割れ、バイクが飛び込んできた。 「ここ、何階?」 「四階だ??」
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