第三十七章 笑顔は箱の中 二

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 しかし、駿河がいなくてもジャッジが金太楼でディナーを食べるようになっていた。そして、三つ子に世界の仕組みを教え、ついでに勉強も教えてゆく。 「八起、飯!」 「朝陽」  しかも、朝陽と蔦屋も常連になってきて、正一と祖毬も時々顔を出すようになってきた。 「黒瀬さん、デモンズと結婚したのか。お祝いを渡したいな」  それは、俺も渡したい。しかし、デモンズは世界有数の富豪で、買えないものなどないだろう。 「朝陽と黒瀬さんには繋がりがある?」 「…………そうだな、あまりないか?」  繋がりが、全く無いだろう。 「でもさ、朝陽先輩」 「はい!!」  朝陽には、沢山のスプレーを作って貰おう。だが他にも、朝陽には作って欲しいものがあった。 「痛み止めを配合した、潤滑剤というのはできない?ほら、駿河もそうだけれど、悪魔が初めてみたいに完璧に修復するから…………常に最初が痛いだろう」 「ああ、夜のグッズね。いいよ、作っておく」  朝陽は笑うと、ドアを見ていた。ドアの向こうには、忍坂兄弟の来ていて、俺に手を振っていた。 「八起にも必要みたいだしね」  俺にも必要になるのだろうか。それは、あまり考えたくない。
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