君の思い浮かべているのは彼

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それから、陸君は健人君への性的欲求が限界まで来る頃、 土曜日のバイト帰りうちに来て 私を健人君の代わりに抱き、翌日一緒にバイトに行った 愛なんか囁かない 私たちに愛はないから デートだってしないし キスもしない 前戯も大してしない、したら女の体だし集中できないでしょ 陸君が健人君を想いながら発散出来ればいいのだから ────ー─────────────── 「陸君とそんな関係が続いて2ヶ月が過ぎた頃、私の気持ちが変わってきたんです」 いつも通り、土日の引越しのバイトの日に合わせて 陸君が土曜日うちに来て 健人君を想いながら私の体を抱いた時 健人君が羨ましい 初めてそう思った こんなに陸君に愛されている健人君が羨ましい 私もこんな風に愛されてみたい 私も健人君の代わりじゃなく私として陸君に愛されてみたい そう思った 「ほら」 彰さんが私にミネラルウォーターのペットボトルを手渡し 彰さんももう1本冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し勢いよく飲んだ 思い出話をしているうちにワインを飲みすぎていた 私も、話を聞いていた彰さんも 「好きになったのか?」 「分かりません。でも、ダメだって思いました。だからそう思った翌日、彰さんに電話したんです。3月に高校卒業してから渡米の予定を12月末に早めてもいいかって」 「それでだったのか」 母親を説得して卒業式だけ戻ってきて 卒業はすることを条件に納得してもらった 「私は健人君の代わりをしてあげたかった。私は将来愛する人と性交渉できる体にリハビリしたかった。陸君を求めだした心は早く摘んでしまわないとと思って」 私の心は、陸君が健人君を純粋に愛する気持ちを体で受け止めていたから 陸君を好きになったと勘違いし始めたのかもしれない まだ勘違いのうちに終わらせないと 急いで渡米準備を初めて クリスマスにはこの地を旅立つことに決めた
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