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──明日?! アメリカに行くのは3月だって・・・
────予定を早めたの
──いつの間にそんな・・・そんな素振りひとつも
驚くのは無理もない。隠してたんだから
────先週、陸くんが来た日の次の日から引越しの準備をしていたのバイトは2つとも先週で辞めた
実は今日もバイトじゃなくて部屋の引渡しをしてたんだ
───なんで、また・・・
言おうか迷った
でも言わないと終われないと思ったから
私はゆっくり口を開いた
──思いの他、陸くんを好きになりすぎちゃったからかな
代わりで抱かれるより私を見て抱いて欲しいって思ってしまうようになっちゃったからかな
驚いてその場に立ち尽くしていた陸君の目の前に立って
素直な気持ちを打ち明けた
──陸くんには感謝してる
好きな人に触れられる喜びや心地良さを知れた。私は陸くんのおかげでこの先、愛する人が出来てももう大丈夫な気がする・・・・・逃げ道を作る手伝いをした私が言う権利なんてないかもしれないけど・・・・・・
陸くん、もう一度彼と向き合ってみてほしい。
健人くんの代わりになってみてわかった。
あなたがどれだけ彼を好きで大切か・・・・
気持ち伝えるのはあなたの自由だけど私は伝えて欲しいと思った
最初は陸君に恋愛感情なんてなかった
私は自分に向けられる性的な目に耐えられなくて
彼なら私を見ないで私を抱けると思ったから関係を持った
でも、健人君を一途に愛するあなたを私は好きになってしまった
彼の綺麗な顔から涙が零れ落ちた・・・・
それは止まらなくなり
その内表情が歪み辛そうな顔になった
そんなに苦しまないで?
私が悪いの
あなたは悪くない
──泣かないで
────楓さん・・・今までごめんね
──謝らないで?私が選んだことだから。あなたに提案したのも私だから。むしろ私は幸せだった
そう、初めて好きという気持ちを知れた
好きな人の温もりを知れた
そのあなたは私を私としては1度も抱いていないけれど
その後私たちは立ったまま強く強く抱き締めあった
この時の彼は私を、健人君の代わりではなく
長澤楓として抱きしめてくれていた
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