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いらいらが止まらないから、すぐに家へは帰れない。
一か月くらい毎日帰りが遅かったから、どこかに寄ってから帰っても大丈夫。しかも、今日は金曜の夜。余計に急いで帰る必要はない。
苛立ちを少しでも落ちつかせたくて、私は、目についたカフェに入った。
コーヒーをブラックで頼む。苛立った気持ちには苦いコーヒーが合いそうだ。
「にが!」
でも、味覚に気持ちが取られたから、ほんの少し落ちついた。
まったく、何もできないダメ男だったとは……どうして、住んでもいない私が、掃除、洗濯、料理をしないとならないのよ!
郁さんが黙って出ていった理由を知った私は、今度は彼女にしろちゃんを返そうと思った。
復縁してくれれば、彼は私を放ってくれるだろう。今まで、家事をしていた郁さんが戻るのが一番だと、私は考えた。
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