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「ナナは妹みたいなもんなんだよ。ホント、俺が好きなのはお前だけだから」
同棲してる部屋に、たびたび押し掛けてくる女。
傍若無人に振る舞う彼女に、恋人はへらへらして何も言わない。ただ、わたしに我慢しろって圧力掛けるだけ。
「ここは今二人の家でしょ? 他の女の子には来て欲しくないの」
「だから誰でも彼でもは呼んでないじゃん。ナナはさ、ちょっと特別なんだって。あんまり友達いなくて寂しいヤツなんだ。そこは理解してくれよ」
わたしが彼女のことで表情を曇らせるたびに、彼は目に見えて不機嫌になる。
「ミキさん、あたしカズヤさんとは付き合い長いんです。……いろいろと、ね」
カズヤが席を外した隙を見計らい、勝ち誇ったような顔で思わせ振りなことを口にする。
この子に女友達がひとりも居ないっていうのも、事情を聞くまでもなく納得行くわ。
……男の人から見たら「意地悪い女たちに仲間外れにされるナナちゃん、カワイソー」なのかしらね。
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