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. 朝、目が覚めると、窓の外からは一定のリズムを刻んだ雨音が聞こえてくる。 何度もうたた寝を繰り返しては、これ以上は眠れないというくらいまで頭が冴えてくると、いつもよりは軽い身体を起こして、カーテンを開けた。 思った通り空は灰色の雲で覆われている。 昨日の夜から、しとしとと降り続いている雨は、まだ止む気配はない。 今年の梅雨シーズン最後の長雨だと、天気予報で言っていた気がする。 久しぶりに部屋の掃除でもしようかと思っていたけれど、この天気では気分が乗らない。 DVDでも借りに行って1日中映画三昧か、それとも……… そんなことを考えながら、コーヒーを飲みにキッチンへ入ると、そこには珍しく孝太朗の姿がった。 「おはよ」 「……おはよう。こんな時間にいるの、珍しいね」 「入稿が終わって、さっき帰ってきたところ」 そう言って、少し疲れた顔をしながら椅子に座っている。 テーブルの上には、コンビニ袋。 栄養ドリンクが2本入っていて、その片方は既に開封された跡がある。 同じ屋根の下で暮らしてはいても、孝太朗の生活リズムは不規則で独特で。 物音で彼の存在を感じる取ることはあっても、こんな風に顔を合わせて、ゆっくりと時間を過ごすようなことは、ほとんどない。 だから、二人きりだと少し緊張してしまう。 .
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