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「はぁ・・・・  またアイツかよ」 うす暗い森の中で大きなため息をついているのは小さな悪魔であった。 木の陰からひょっこり首を突き出し、目を細めて遠くを見ている。 アイツとは数十メートル先にいるクマよりも大きなモグラのことであった。魔力によって巨大化したモグラは「ジャイアントモール」と呼ばれ、わりとよく見かけるモンスターなのだ。 「こっちも魔力を抑えないと赤字だしなぁ」 悪魔は眉間にシワをよせてしばらく考えこんだ後、片目をつむり、親指と人差し指でピストルのかたちを作ると、その腕をまっすぐ伸ばして大モグラの少し手前に狙いをつけた。 「パルヴォロス、やっとけ」 悪魔の呼びかけとともに馬車の車輪ほどの魔方陣がモグラの目の前に現れ、トラのように大きなイヌのモンスターが這い出てきた。 驚いたモグラは身をひるがえして逃げようとしたが、イヌのモンスターは鋭い爪でその背中にしがみついた。 「おーし。 ガブっといけ、ガブっと」 悪魔はもつれ合う二頭のモンスターにゆっくりと近づいていった。 パルヴォロスの尾はヘビになっており、その毒牙で獲物の動きを封じつつ、するどいキバと爪でとどめをさすのだ。 悪魔は戦いの決着を見届けると、すぅと大きく息を吸い込んだ。モグラの亡骸から立ち上る薄暗いオーラを吸い尽くした悪魔は腹をさすり、がっくりと肩を落とした。 モグラを仕留めてその魔力を吸い込んだのはいいが、パルヴォロスの召喚で使った魔力を差し引くとたいした成果にはならないのである。
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