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「まだ時間があるから、もうちょっと寝るか」
そう言って、倫太郎が欠伸をする。
「そうですね。
三十分くらいですけど。
今度はちゃんと枕使って寝ます」
壱花は、ぽんぽん、と枕を整えるために叩いたが、それを見ていた倫太郎が、
「二回叩いたら、枕の神様の呪いによって、二時にしか目が覚めないんじゃないのか?」
と言ってくる。
いや、……なんの呪いですか、と思いながら、壱花は、
「いや、単に形整えただけですよ」
と言う。
「枕返しと枕の神様は別物なのだろうかな?」
そう倫太郎が言ったので、壱花の頭の中で、枕返しと枕の神様がいっしょになり。
さっきの可愛い枕返しが、小さな手で、てしてし、壱花の額を叩いて起こしていた。
「じゃあ、六時半で頼んでみます」
と言って、壱花は枕を六回と、ふんわり一回叩いてみた。
ふと見ると、男たちも枕を叩いてみている。
枕返しの可愛さにやられたのだろう。
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