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別に壱花は死ななかった。
死にかけたのは、枕返しだった。
倫太郎の叫びに目を覚ました壱花がつぶされて弱っていた枕返しを手のひらにのせる。
「かわいい~。
ごめんね、枕返し」
あ、そうだ、と壱花がポケットに入っていた金太郎飴を一粒あげると、枕返しは喜んでそれをせっせと運び、またぱたん、と銭箱に入っていった。
倫太郎が床の間に行き、それを開けてみる。
「なんにもいないな。
何処か別の空間につながってるんだろうな」
と呟いていた。
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