932人が本棚に入れています
本棚に追加
/199ページ
「うーん。昨日のから揚げ美味かったしなぁ……でも、ハンバーグも食べてみたいなぁ…」
彼が皮をむきながら悩んでいると、
「じゃ、から揚げはまた今度作ってあげるから、今日はハンバーグにしよっか」
ママが言う。
「うん……」
彼が微笑んで頷いた。
皮をむき終わった彼に玉ねぎを炒めさせて、私はじゃがいもとニンジンを一口大に切り、フライパンに入れて一緒に炒めてもらう。
「尋、そのまま炒めてて……お肉入れるよ」
「うん……」
彼は手際よくフライパンを振って、具材を返しながら炒めている。
「尋……上手いね。料理してたの? 家に小さなフライパンと鍋はあったけど」
「あ、ちょっとだけ。お金がなかった時とか、卵焼いたり、適当にもやしとか炒めて食べてた」
「そっか……」
「香みたいにあんなオムレツは作れないけどな」
「ふふっ、あれは、ママの直伝なの」
「何? オムレツ?」
「うん、香に作ってもらって、すっごい美味しかった」
「あぁ、香、本当にオムレツは練習したもんねぇ」
「うん……でも、あのオムレツで尋が喜んでくれたんだ」
「そう……」
肉の色も変わり焼けると、深い鍋に具材をいれ、水を入れて煮込む。
煮込んでいる間に、ハンバーグのタネを作り、小さなハンバーグの形にして、お皿に並べラップをかけて冷蔵庫へ入れる。
「ただいまー!」
「心だ! お帰り!」「お帰り!」
私が大きな声で言うと、尋も大きな声で言った。
その声に心がリビングのドアを開け、キッチンを覗く。
3人で「お帰り」と言うと、満面の笑みで「ただいま」と返した。
「心って、爽やかイケメンだよな。写真の父さんと似てる」
最初のコメントを投稿しよう!