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夕方になり、今日は幸二君と涼太君と晩ご飯を食べる事になった尋をおいて、私とパパは家に帰った。
ダイニングテーブルの1ヶ所が空いていて、皆で「寂しいね」って言って食事をする。
もう尋は私達の家族になっていると実感した。
月曜日の夕方。
3年5組の教室。
放課後、尋のクラスの教室で、彼と一緒にパパが学校に来るのを待っていた。
担任の先生は4時半に教室に来ると言う。
それまでは教室で2人。
尋の使っている机に座らせてもらい、彼の見ている景色を見る。
窓の外から見える外の景色、この席から見える黒板と教卓。
横に立っている尋を見上げる。
尋は優しく微笑んで、私の前の席に座り私に手を伸ばす。
私がその手に頭を寄せると、後頭部に手を回し引き寄せキスをした。
「ふふっ、ここで出来ると思ってなかったな」
「ふふっ…」
「香、もう1回…」
頷いて唇を軽く触れ合うキスを繰り返した後、深いキスをする。
唇を離し、見つめ合って2人で照れる。
時計を見ると4時25分。
もう一度だけ、軽くキスをして、先生とパパを待った。
しばらくすると廊下から足音が聞こえる。
ガラガラガラと教室のドアを開けて入って来たのは、担任の先生だった。
がたいのいい男の先生。
「おう! 橘! ずっと待ってたのか?」
(この声……どこかで……あっ、保健室で寝てた時、尋を探していた先生だ)
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