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私達は見送ってくれるご夫婦にもう一度頭を下げて車に乗り、グラウンドから出ると、ご夫婦は門を閉めた。
助手席にはママが乗り、後部座席に尋と私が乗る。
「尋、いつでもまた遊びに行けばいい。神城学園は尋の育った場所なんだ。遠慮することないよ」
「うん……ありがとう。父さん、母さん、香」
車の中で後部座席の照明をつけ、尋と一緒に『母子健康手帳』の中を見る。
すると、前から話声が聞こえた。
パパとママが小さな声で話している。
「那奈、俺が決めて進めて来た事に何も言わず、そばで支えてくれてありがとう」
「ううん……翔が決めたなら私はどんな事でも、ずっとそばで支えるよ」
「ありがとう、愛してるよ」
「ふっ、うん。私も」
その会話を聞いて、羨ましく思い、私もそうなりたいと思った。
すると、尋が私の手をぎゅっと握る。
「尋も……聞こえてたの……?」
そう耳元で聞くと、彼は頷いた。
「俺も、香とあんな関係になりたい」
彼は私の目を真っすぐに見つめてそう言った。
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