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尋の広い胸の中に包まれて、彼の匂いで満たされて幸せを感じている時、下から私達を呼ぶ声。
「あぁ、幸せだったのになぁ……残念……」
ちょっとスネたように言って、彼の胸から顔を離す。
「ふっ、香、スネないの。いつでも抱き締めてあげるから、ねっ」
そう言って微笑んで、キスしてくれた。
「うん……下りよっか」
「うん、母さんが待ってる」
2人で下におり、キッチンに行く。
「お母さーん、何からする?」
「ふふっ、何か変な感じね。香から言われると……」
「そう? 変かな? でも、尋が「母さん」って呼んで、私が「ママ」って呼ぶのって、何か区別するみたいで嫌だなって思って……」
「それで、呼び方を変えようとしたの? 俺と同じにしようって…?」
「うん……」
「ふっ、そっか。ありがと…香、俺の事は気にしなくていいよ。今まで通りでいいじゃん」
「そう? 尋は嫌じゃない?」
「ううん、嫌じゃないよ。ふふっ、俺がパパ、ママって呼ぶのが恥ずかしかっただけだから」
「ふっ、うん、分かった。じゃ、今まで通りでいいっか」
「うん……」
「じゃ、ママ、何からする?」
彼と手を洗い、キッチンに入って3人で並んで晩ご飯の準備をする。
彼にピーラーを渡し、じゃがいもやニンジンの皮をむいてもらい、私は玉ねぎの皮をむいて切り、フライパンで炒める。
今日の晩ご飯はカレーとサラダ、コンソメスープ。
ママの提案で、から揚げかミニハンバーグのおまけをつけてくれると言う。
「尋はどっちがいい?」
ママが訊く。
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