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コンロに火をおこし始めると、次々に集まって来た。
拓磨君家族、仁君家族、幸二君と涼太君。
皆集まったところで、パパに尋が呼ばれ、隣に並ぶ。
「久しぶりに皆、集まってくれてありがとう。今日は皆に俺のもう1人の息子を紹介します。尋…」
「初めまして、橘 尋です。俺には親がいません。ですが香さんと出会い、三浦家の父さんと母さん、心と出会って、他人だった俺を家族として迎えてくれました。そして、今日また俺に家族を増やしてくれる……1人だった俺に……こんなにも沢山の家族が……出来た事に、父さん、母さん、心、そして香……感謝しています。ありがとうございます」
尋は振り返り、私達に頭を下げ、涙を零した。
私もそんな尋を見て、涙を流していた。
彼は顔を上げ、涙を拭って皆の方を向き続ける。
「こんな俺ですが、これからもよろしくお願いします」
そう言って、皆に頭を下げた。
皆から一斉に拍手をされ、「こちらこそ、よろしく」と言われて、涙を零し彼は笑った。
挨拶を終え皆で乾杯をして、私達で肉や野菜を焼いていく。
焼いている横で、隼人君と尋が話している。
「隼人君もバスケしてるの?」
「うん、心君と同じミニバスチームに入ってる」
「へぇ、そっか。俺もバスケするんだ。後で一緒にやろ」
「うん、尋君は心君よりも年上なの?」
「うん。1つだけ上なんだ」
「そっか。じゃ、尋君が長男だね」
「……うんっ、そうなるねっ……」
「ん? 尋君?」
「んん?」
「あぁ、隼人君。尋は嬉しくて泣いてるの。兄弟が出来て嬉しいみたい」
私が首を傾げている隼人君に言った。
「そうなんだ。俺も、お兄ちゃん増えたから嬉しいよ」
「ありがとう、隼人君」
尋は嬉しそうに微笑んだ。
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