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少し休憩をして、パパが尋を呼ぶ。
「あ、尋! ちょっとおいで」
バスケットをやっているメンバーから尋が抜けて、心と隼人君2人でやっている。
パパが尋を椅子に座らせ、幸二君と涼太君が前に座った。
拓磨君と真琴君、仁君も見守る中、パパが話始める。
私は気になって、一緒に話を聞く。
「尋、このあいだ話していた家の話だ。幸二と涼太からの提案だよ」
「はい……」
「尋君……てか、尋でいい?」
「あ、はい……」
「幸二っ!」
涼太君が幸二君に注意する。
「だって、何か話しにくいから……」
「全然いいです、俺は。尋って呼んでもらった方がいい」
「ふふっ、じゃ、尋。俺と涼太は今、部屋をシェアーしてるんだけど、あ、シェアーって…分かる?」
「はい、知ってます。部屋は別々で共有スペースがあるっていうやつですよね」
「そうそう。そのシェアーをしてるんだけど、最近、広い部屋に引っ越しをして、今、部屋は3つある」
「……はい…」
「俺達と一緒に住まないか?」
「えっ……」
「もちろん、基本プライベートには干渉しないっていうのがルールだけど、尋はまだ未成年だから、ちょっとルールが変わるけどな」
「えっ、でも、俺……父さん…?」
尋がパパに向かって訊くと、パパが話す。
「ふっ、まぁ、簡単に言うと、3つ部屋があるから1つ部屋を使っていいよって。家賃や光熱費は全て今まで通り2人が割勘で払う。で、2人が勉強もみてくれる」
「えっ! 家賃とか……あ、そっか……父さんがバイトを辞めて、勉強に集中って言ってたのは……この事だったのか……」
「うん。本当は家に来て欲しいんだが、部屋がなくて、受験生になる尋には家はつらいだろ。香の事もあるしな…ごめんな」
尋はパパが謝ると黙って首を横に振った。
パパは、受験生の尋には1人で勉強が出来る環境が必要だと思ったに違いない。
家だと部屋がない上に、彼女となる私がいるのは勉強の妨げになるとパパは思ったんだ。
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