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「尋! 家に来いよ! 受験生には最適な部屋だぞ。彼女と一緒の家って生意気なんだよぉっ!」
幸二君が立ち上がって、彼の首に腕を回しジャレている。
「はいっ、お世話になります……よろしくお願いします」
彼は笑いながら、目に涙を光らせ幸二君と涼太君に言った。
「じゃ、引っ越しいつにする?」
幸二君が尋に訊いた。
「すぐに大家さんに連絡しないとな。俺が電話していいか?」
「えっ? 父さんが?」
「うん。お世話になっただろうからな」
「はい……お願いします」
「たぶん、今連絡しても来月分までだろうが、引っ越しはすぐにしてもかまわないだろう。早い方がいい。バイトはいつまで入ってるんだ?」
「あ、新聞屋もコンビニも「受験勉強に集中するから」って話すと、「今週まででいいよ」って言ってくれたから、もう終わりだった」
「そうか。じゃ、尋の好きな時に引っ越しすればいいよ」
「……あの、明日でもいいですか……?」
「明日ぁ? !」
幸二君が大きな声で言った。
「あ、ダメだったらいいです……」
「いいに決まってんだろっ! 荷物取りに行ってやる!」
「えっ! ほんとに?」
「あぁ、いいよ。ふふっ、そんなに早く、来てくれるとは思ってなかったから…」
「ふふっ、俺、嬉しいです。俺の事を考えてくれてる家族がいる事が、こんなに幸せだと知らなかったから」
「ふふっ、尋……幸二がウザい時は、すぐに言えよ。俺が、シメてやるから」
「ふふっ、ありがとうございます。涼太さん」
「ふっ、涼太でいいよ。あ、コイツは幸二でいいから」
「ふっ、はい…」
「よろしくなっ!」
涼太君と幸二君が微笑んで、彼に言った。
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