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「あ、因みに、家はちょっとだけ学校に近くなるぜ」
幸二君が住所を言うと、今彼が住んでいる家より徒歩5分ほど近くなった。
「尋、夜は俺達営業で付き合いもあるから、遅くなる日もある。晩ご飯は」
「あ、幸二、それは大丈夫。今まで通り家で一緒に食べるし、夜は俺が車で送るから」
「うん、分かった……ん?」
幸二君が首を傾げて、何か考えている。
「ん? どうした?」
パパが訊く。
「それって……那奈さんのご飯を…毎日食べるって事……?」
幸二君が尋を見つめて訊いた。
「そうだよ。一緒に作って、食べるよ。今はお弁当もあるもんねぇ」
私がそう言うと、尋は微笑んで頷いた。
「はぁ? ? 尋、お前ぇ……那奈さんの飯食って、大きくなってやがるのかぁ? あぁ?」
「いててぇ……幸二っ……痛いよぉ……」
幸二君がまた、尋の首に腕を回して、今度は握りこぶしで頭をグリグリと擦っている。
それを見たパパが、幸二君の後ろから首に腕を回し、同じように握りこぶしで頭をグリグリと擦りながら言った。
「俺の可愛い息子に何してくれてんだ…よぉ……お前には、那奈の作った物は…食わせねぇ…よ……俺が、今度お前に弁当を作ってやるよぉ……」
「あぁ……いぃたぁい……痛いですって……あぁ、ごめんなさい、ごめんなさーい……」
「はははっ」
周りの皆も、私も尋も、大きな声で笑っていた。
そして時間も遅くなり、前のように真琴君の家に拓磨君と早苗さん、瑠璃ちゃんが泊まる。
家には、心の部屋に仁君と綾さん、リビングに幸二君、涼太君、隼人君、優輝、心、そして尋が泊まった。
リビングはまるで修学旅行のように、夜遅くまで騒いでいた。
「いい加減! 寝ろっ!」
とパパに怒られているのを聞いた。
パパの声で驚き、目が覚めて時計を見ると3時を回っていた。
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