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翌朝早くに幸二君と涼太君は一度家に帰り、幸二君の車で尋を迎えに来た。
優輝は起きてすぐ家に帰り、仁君家族もすぐに帰って行った。
ママと朝食を7人分作り、私達5人の分はダイニングテーブルに、幸二君と涼太君の分はリビングのテーブルに用意する。
心と尋が皆の分のトーストを焼いてくれて、順番にバターを塗ってお皿に乗せ渡す。
私は簡単にサラダを作り、ママがスクランブルエッグとオムレツの希望を訊いて、それぞれに作ってくれる。
パパと幸二君はスクランブルエッグ。
心と涼太君、私、尋はオムレツを作ってもらう。
因みにママはスクランブルエッグ。
幸二君は大喜びでママの作った朝食を食べている。
「那奈さんの料理は、皆で集まる時ぐらいしか食えないのに、昨日は焼き肉で……那奈さんの料理じゃなかった……」
口を尖らせて言う幸二君。
「何だよ、焼き肉じゃ嫌だったのかよ。肉、美味しかっただろ?」
パパがダイニングの席からリビングで食べている幸二君を、少し横目で見て言った。
幸二君は黙って、朝食を食べている。
そんなやり取りをよそに、尋はママの作ったオムレツを見つめている。
「尋…? 食べないの?」
そう訊くと、彼は私の顔を見て微笑んで言う。
「香のと……同じだ……」
「ふふっ、そうだよ。でも、逆だよ。ママのオムレツが素だから。美味しいよ」
2人でオムレツに箸を入れて、ひとくち食べる。
彼は目を大きく開いて「美味しい」と言い、「優しい味は同じだ」と言って私に微笑んだ。
尋とラブラブの食事をしながら、私は幸二君に言う。
「幸二君、でも野菜とかお肉とか用意したのはママだよ。それじゃダメなの?」
「ん? かおちゃん、ほんと?」
「うん、家で食べる時は、ほとんどママが用意してるよ。だからいいでしょ」
「うんっ! いい!」
「ふっ! 子供かっ! まぁ、そんな幸二が俺は好きだよ」
そう言ってパパが、ニヤリと笑った。
朝食を食べ終え、幸二君と涼太君は尋を車に乗せ、彼の引っ越しに向かう。
パパの車に私も乗せてもらって、後を追う。
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