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尋の部屋は必要最低限の物しかない。
部屋の中を見た幸二君や涼太君、そしてパパは目に涙を浮かべていた。
「本当に1人で……ここで生きて来たんだな……」
そう言ったパパの目から涙が頬を伝う。
運ぶ荷物が少ないので、新しい部屋に行く前に家具屋へ寄る。
「何、買うの?」
「あぁ、尋のベッドと勉強机。あと、いくつか家具が必要だな。部屋に敷くラグマットとかも…」
「確かに……」
家具屋でまずベッドを見て、尋にマットの具合を見させて気に入った物を買う。
次は勉強机。
尋はシンプルな机と椅子を選ぶが、幸二君と涼太君がこっちの方が機能的と言って、大人でも使うような机を尋に見せる。
「遠慮してるなら、気にするなよ。これなら、大学に行ってもそのまま使えるだろ」
幸二君が言う。
「うん……これにする」
「よしっ、じゃ、次」
本棚や、チェスト、ラグマット、ローテーブル…
家具は全て、引っ越しをする息子の為にとパパが尋に贈った。
家具屋に配送を頼むと、一緒に今から届けてくれると言う。
車3台で部屋に向かい、尋の新しい家の引っ越しが始まった。
人数も多く、ほとんど家具屋さんが運んでくれて、早々と引っ越しは終了した。
少し休憩した後、近くの電気屋に向かう。
小さいサイズのテレビを買って、ノートパソコンを買った。
インターネットは幸二君と涼太君は仕事を家でもするから、契約済み。
大学では必要になってくるからと、テレビとパソコンは幸二君と涼太君から引っ越し祝いに贈られた。
尋が使っていた四角い冷蔵庫は電気屋に引き取ってもらう。
新しい部屋には、幸二君と涼太君が使っている冷蔵庫や洗濯機の家電を共有で使う事が出来る。
皆で、手分けして尋の新しい部屋が完成した。
前の部屋とは比べものにならないくらいに、充実した部屋になった。
「ありがとう…」
彼はそう言って嬉しそうに笑った。
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