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家の敷居を跨ぎ、玄関にて靴を脱ぎ始めた時、ドタドタと先程とは違う足音が廊下に響いた。どうやらもう一人のお出迎えが来たようだ。
「ただい」
「おかえりなさいこくらっしゃー!」
「ぐほ!?」
私の鳩尾にピンと伸ばした指先がめり込んだ。
「おみやげはー? ねーねー! おみやげーっ!」
「いや別に出張に行ってたわけじゃないし何も買ってないよ」
「なーんだケチ。つまんないのーっ」
悪態をつくだけつくと、またバタバタと騒がしく去っていった。
今のは我が家の“怪獣”だ。家中を荒らし回り、ギャーギャーと奇声を発し、イタズラと言う名の被害を与え、休みの日ともなるとどこかへ連れて行けと騒ぎ立てる。ある意味鬼よりも厄介な存在。
おまけにその鬼も怪獣には甘いから実に手に負えない。あのまま成長しないことを願うばかりだ。
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