あなたへ愛を込めて お題【書簡体小説】

1/1
前へ
/5ページ
次へ

あなたへ愛を込めて お題【書簡体小説】

「愛するあなたへ お久しぶりね。私の事覚えているかしら?ビルから飛び降りようとした私を助けてくれたのはあなた。あなたは私の命の恩人なの。だからあなたが居ないとダメだったのに、突然姿を消したあなた。ずっと探していたのよ、ずっとずっと。やっと見つけた。会いたい。会いに来て欲しい。                        さなえより」 「さなえへ 久しぶりだな。元気にしてたか?黙って居なくなって悪かった。ごめん。今俺は結婚して子供もいて幸せなんだ。だから、会いに行けない。俺の幸せを壊さないでくれ。お願いだ。               けいごより」 「愛するあなたへ あなただけ幸せになるなんてずるいわ。私を幸せにするなんて言ったくせに、一人だけ幸せになるなんて。実はあなたの子供を産んだのよ。あの後妊娠に気付いて一人で産んだの。私だけ苦労したのに、あなただけが幸せなんて許さない。あなたの幸せを壊してやる。覚悟しろ。                     さなえより」 「さなえへ 子供を産んだなんて知らなかった。苦しい思いをさせてすまなかった。一人で産ませてすまない。お金を渡すから、どうか会いに来ないでくれ。いくらならいい?お願いだから俺の幸せを奪わないで欲しい。お願いだ。               けいごより」 「愛するあなたへ お金なんていらないわ。それに子供を産んだなんて嘘よ。あなたに会う為の口実。こんなに私はあなたを愛しているのに、あなたはどうして愛してくれないの?私以外を愛すなんて許さない。だからあなたが愛するものを奪ってやったわ。そうすればあなたは私を愛してくれるでしょう?でも、そんな憎む様な目で〝愛してる〟なんて言われても嬉しくないわ。初めから私を捨てずに、私だけを愛していればこんな事にはならなかったのに。この二人が死ぬ事は無かったのにね。さぁ、邪魔者は居なくなったわ。これからあなたは、私をまた愛してくれればいい。それでいいの。 そして、ずっと、ずっと、死ぬまで一緒よ。               さなえより」 終
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加