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由衣も意味ありげにケイの手に自分の手を重ねる。
「どーだろう? あたしから連絡してみよーか?」
「あ、お願いして良いかな?」
人懐っこそうな顔でケイが由衣にお願いをすると、由衣はあっさりと男子大学生にメールを送った。そんな由衣を呆れた顔で早智は見ている。
「早智さんは持っていないの、バンド?」
「私は興味ないんで。興味あるのは、今日二人とご飯に行けるかどうかかな。凌さんは興味あるの?」
「ないよ。二人は仲いいね」
誘うような目つきで早智は凌を見るが、凌は早智の言葉を無視して話を別方向に展開した。今凌の頭の中は灰野からの依頼で頭がいっぱいなのである。
「入門ゼミから一緒だし、サークルも一緒」
「何サークル?」
「テニス。いっぱいあるからわかりにくいけど、結構まじめにやっているタイプのサークル。こう見えて由衣は高校の時にインターハイ出場したことがあるしね。私も県大会の常連だったの」
「部活に入らなかったの?」
「しんどいのはもう良いし。別にプロとか目指してないし。楽しければ良いの。ダイエットにもなるしね」
猫みたいな2人だな、と凌思いながら言った。ケイを見ると件の男子大学生から返信があったらしく、凌を手で呼ぶ。
「オッケーだって、凌。1時間後に記念講堂近くのカフェテリアだってさ」
「お前、課題はどうするんだよ」
課題をしに来ている設定を忘れているのか、楽しんでいるケイに凌はくぎを刺すように言う。ケイは少し不満そうな顔をしたが、すぐに人懐っこそうな顔に戻る。
「とりあえず受け取ってからしよーぜ。それでも間に合うしな」
「了解」
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