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呆れたように凌が言うと、ケイは適当な話を由衣と早智としてから、2人と別れた。
別れ際連絡先を交換しようと由衣たちに言われたが、ケイは適当な理由をつけて断った。その断り方はかなり手慣れた様子だった。どこであんな断り方を見つけたのか凌は不思議だった。
広い大学内にはいくつかカフェテリアが点在している。凌たちが在籍している大学も同じだった。調べに来たこの大学も同じらしく、合計3か所校内にあった。
凌たちが最初に入ったカフェテリアを出ると、外は既に暗くなり始めていた。スマホでカフェテリアの営業時間を調べると、あと30分ほどで閉店になるらしい。
男子大学生の指定時間は、カフェテリアの閉店時間ぎりぎりだった。急ぎ足で二人は記念講堂近くのカフェテリアに移動する。
学内にはサークル活動を終えた学生たちが歩いており、校門を目指して歩いている。二人はその流れに逆流するようにして歩く。
5分ほど歩くと、指定されたカフェテリアに着いた。先ほどのカフェテリアと比べるとこじんまりとしており、席数も半分以下だった。
しかし、手作りケーキが売りらしく、女子大学生がこの時間でもちらほらといる。
二人が店に入ると入り口近くに1人で座っている男子大学生を見つけた。入り口を背にして座っているので2人は学生の正面に回り込んだ。スマホで何かを見ていた学生は二人に気づき、視線をあげた。凌とケイは目が合った学生が写真と同じ人物だとわかり、声をかける。
「連絡した、ケイです」
変わらず人が好きそうな笑顔で男子大学生に声をかける。
「どーも。峻希です。バンドが欲しいんだっけ?」
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