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二人はバンドをじっくり見ていると、ケイのスマホが鳴る。ケイがスマホの画面を確認すると、峻希から何やらメッセージが届いていた。
「これ、怪しいねぇ」
画面をタップして、メッセージを開封するとそこには『案内』というタイトルと住所が書かれていた。
住所を調べると、大学からほど近い雑居ビルの住所だった。それ以外にケイにアパレルのモデルになってほしいこともメッセージに添えられていた。胡散臭そうな顔でメッセージを見ていたケイは同じ表情をしている凌を見る。
「どうする、凌?」
「とりあえず様子見するか。中間報告もしないといけないしな」
調査を一日終えるごとに、凌たちは灰野に調査経過を報告することにしていた。時間帯は指定されていないが、区切りが良いタイミングで連絡し、灰野に指示を仰ぐ。
灰野からの終了の指示があるまで、凌たちは仕事を続ける。
凌は灰野にメールで中間報告をすると、すぐに灰野から電話がかかってきた。
『囲碁』
「あー、オセロ」
灰野と電話連絡を取るときのルールは1つだけ。
電話を出たときに合言葉を交わすことだった。この言葉を交わせない時にはすぐに通話を切ることになっている。
『報告ありがとうな。怪しいな、そのビル。こっちが気にしていたところじゃないな』
「どうする?」
『もう一度その大学生と接触は出来るか。出来るようならそのDMの件を聞いてほしい』
「そうだな。モデルをしてほしいから、デザイナーに会ってくれって書かれているけど」
『危険じゃない限りは潜入して調べてほしい』
「危険だとわかったらすぐに辞める」
『わかってるよ。約束だもんな』
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